もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


「やっと解放されました!長かったー」

私立を第一志望とする生徒は、ちらほら受験戦争の終わりを迎えている。

「ほんまに、よくがんばったよ。」

「あとは、伊東の結果待ちですね」


聞きたかったけど聞けなかった名前が出てきて一瞬たじろぐ。


「・・・伊東どう?」


「伊東は第一志望国公立ですから、まだ結果待ちですね。私立はすべり止め決まったって言ってましたよ。」


「ならよかった。」


すべり止めでも受かったと聞いて安心する。

「たぶん、卒業式まで部活には来ないんじゃないかな?

後輩には受かってから報告したいって言ってたし」


「伊東らしいな。」


伊東は絶対に岡部たちには、かっこ悪いところは見られたくないとよく言っていた。


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