もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


「先生にな、渡すもんがあるねん。」


伊東は思い出したかのように、制服のポケットから封筒を取り出した。


「これ、今日のこれ終わって、一人でみて!」

「え、今みたらあかんの?」

「あかん。絶対あかん。」


そういわれると、読みたく余計になるのだけど、読むんやったら取り上げるといわれて、しぶしぶスーツのポケットに戻す。


手紙のことばかり考えていたからかもしれない。あっと言う間に会は終わり、三年生も後輩たちも帰路についた。


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