もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


号泣する岡部を、伊東が抱きしめている。


「泣くな岡部、また遊んだるやん」

そういっている伊東も目には涙が浮かんでいた。


「邪魔できませんね」

「やな。」

「先生一年だけでしたけど、ありがとうございました。」


急に九条が改まっていうから、こっちまで改まってしまう。


「いや、こちらこそありがとう。いろいろと。」


「そのいろいろは。結局解決しますか?」


九条はどこまでも僕に手厳しい。


「解決は・・・いつかはする。僕の中で。」


伊東には、これから大学生活が待っている。

僕はこの思いは伝えないつもりだった。


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