もしも勇気が出たら君を抱きしめたい
―――――――四年後、春――――――
「松井先生、おはようございます!!」
「おはよう」
ゆっくり歩いていた僕を生徒たちが追い越していく。
今日からまた新学期。
新しいクラスに期待を抱く生徒たちは、歩くのがもどかしいのか、みんな小走りだ。
「先生、風邪は大丈夫なんですか?」
向こうからやってきた吹奏楽部員に声をかけられる。
「あぁ。いろいろごめんね」
僕は昨日まで、風邪をこじらして、学校にも部活にも行っていなかった。
だから、久しぶりの登校になる。