もしも勇気が出たら君を抱きしめたい
「「「ありがとうございました!!」」」
八月一週目の日曜日。音楽室に後輩たちの声が響く。
惜しくもコンクールの結果は銀賞。今日は伊東たち三年生の引退式だ。
「もも先輩ー」
岡部たちが泣きながら伊東を囲んでいる。次の部長は投票で岡部に決定した。
「泣くな岡部!部長やねんからしっかりせい!」
そういう伊東の目にも涙がうかんでいた。
やはり、一緒にいる時間が長いだけあって、別れのさみしさはおおきいらしい。
僕は、少し離れたところからみんなを見守っていた。