もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


「・・・30分」

「え!?」

「・・・30分だけやぞ」


僕はこの顔に本当に弱い。


「やったーっ!先生大好きっ!いこっ!早くいこっ!」

「・・っ」


ふいに大好きといわれて言葉につまる。

伊東からしたら、そういうつもりで言ったんじゃなくて、ただ花火が見たいだけで。

だけど、それでも、それでも僕はうれしくて。


「先生!早く!」

廊下に出ていた伊東が走って戻ってくる。

「わかった、いくいく」


はしゃいでスキップする伊東の後ろをついていく。


< 66 / 140 >

この作品をシェア

pagetop