もしも勇気が出たら君を抱きしめたい
「もう夏が終わっちゃう」
「来年があるよ」
ここで気のきいたことが言えないのが僕だ。
「・・・そうだね。来年は、ちゃんと花火見にいけるかな」
誰と?とは聞けなかった。きっと答えはわかってる。
「先生帰ろ!」
伊東は急に階段へ向かって駆け出した。
きっと、花火は先輩と見たかったんだろう。
けど、見れない理由がきっとあって、それは僕には聞けることじゃない。
そのあとは、何も話さないで校門まで伊東を送り届けた。