もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


岡部と話し合いをすませ、研究室をあとにする。

二学期に入って一気に秋の気配が強くなった。


窓から見える銀杏の木はちらほら黄色く染まっていた。


「せんせー!!!!」

呼ばれて、振り返るが誰もいない。

気のせいかと思って、歩き始めると

「せんせ!外!外!」

言われるがままに廊下の窓から外を見ると、運動場でブンブンと手をふる伊東が見えた。


「今からそっちいくから!そこ動かんでよ!」

伊東はそう叫ぶと運動場を抜けて、玄関のほうへ入って行った。

< 75 / 140 >

この作品をシェア

pagetop