もしも勇気が出たら君を抱きしめたい
岡部と話し合いをすませ、研究室をあとにする。
二学期に入って一気に秋の気配が強くなった。
窓から見える銀杏の木はちらほら黄色く染まっていた。
「せんせー!!!!」
呼ばれて、振り返るが誰もいない。
気のせいかと思って、歩き始めると
「せんせ!外!外!」
言われるがままに廊下の窓から外を見ると、運動場でブンブンと手をふる伊東が見えた。
「今からそっちいくから!そこ動かんでよ!」
伊東はそう叫ぶと運動場を抜けて、玄関のほうへ入って行った。