もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


いま玄関に入ったから、伊東のスピードならあと10秒くらい。

僕は試しに口に出して数えてみる。


「1,2,3,4,5,6,7,8」

「せんせー!!!!!!」


思ったよりも早いスピードで、こっちに走ってくる伊東が見えた。


「はぁ、はぁ」

「そんなに急がんでよかったのに」

肩で息をする伊東に苦笑していると、伊東が口を膨らました。


「だって、最近話してないから話したかってんもん」

「・・・」


ずるい。本当に伊東はずるいと思う。

そんなこと言われたら、喜んでしまう。もっと好きになる。


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