もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


「よっぽどショックやったっぽい。目めっちゃ腫れとる」


目が大きいのがかわいいのに台無しや、と九条がぼやく。


「先生のとこ、来てるかと思ったけど、さすがにいうてないか」

「僕には言わんやろう」


僕が言うと、九条が目を丸くした。


「先生もしかして、体育会のお題聞いてない?」


すっかり忘れかけていた話題が出てきて、僕は面食らった。


その僕の様子を見て九条は察したらしい。

「伊東の口から聞いたほうがいいやろし、黙っとくわ。」

「いや、あいつ教えてくれんし」

「教えてくれるかもよ、今聞いてみたら?」


九条がドアのほうに目をうつす。

つられて目をうつすと、そこには伊東が立っていた。


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