もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


嘘がばれてしまい、気まずい雰囲気が流れる。


「浮気やって」

「え?」


聞こえるか聞こえないかの小さい声で、僕は思わずききかえした。


「同じサークルの先輩やって。泣かれちゃった。俺かって辛いけど、もう好きじゃないって。なんかあんときなんもいえんかったけど、今考えたらおかしいよなぁ。私のほうが辛いっちゅうねん。」


伊東はあくまでも明るく最後まで言った。


「三月ぐらいは、今年は俺が待つ番やーとか言うてたのになぁ。待てんかったみたい。」


それでも、明るく言っていても、最後は涙目になっていた。




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