もしも勇気が出たら君を抱きしめたい
「嘘つきは嫌いや」と伊東は会話の中で言った。
けど、僕だって大ウソつきだ。
伊東のことを、生徒として見ている自分がそう僕にいう。
伊東だって、お前がそういう目で見ているってわかったら離れていくに決まってるぞ。
いい先生っていうポジションを失ったら、きっとお前は伊東のそばにいられない。
僕だって痛いほどそれはわかっているけど、わかっているのにわからないふりをして伊東のそばにいる。
やっぱり僕は大ウソつきだ。
きっと伊東が知ったら、僕は伊東のそばにはいられない。