さよならリミットブルー
ここで負けたら碧人くんは一生、わたしを名前でなんか呼んでくれないかもしれない。
そんなの嫌だよ。
わたしの小さな願い事が叶わず消えてしまう。
頑張れば叶うなら、最後までやり通せ。
強引にやる気を叩き込んでから無我夢中にボールを追いかけて、ただひたすらに声をあげた。
ーピーッ
体育館中に響くホイッスル。
その音に弾かれるように、特典パネルを見た。
あと、1点………。
なんとかギリギリ持ち堪えて、ようやくマッチポイントまで漕ぎ着けた。
しかも次のサーブはわたしだ。
「芽衣子、頼んだよ」
「うん……!」
手渡されたボールは今日1番の重みを感じる。
ミスをしても、きっと誰かが決めてくれるだろう。
そんな歪な考えが脳内を通り抜けた。
ううん、誰かじゃなくて自分でやるんだ。
わたしが決めたいの。自分の想いはこの手で勝ち取るべきだと思うから。
わたしは決意は誘惑なんかに左右されない。
それくらい気持ちは固まっていた。