さよならリミットブルー
「ふーっ………」
深く、細く、息を吐いた。
ドクンと全身に回る心臓音がうるさすぎて、周りにいる人たちにも聞こえてしまいそう。
大丈夫、できる、頑張れ。
なんて呪文のように唱えるたびに、手が震えて止まらない。
っ……だめ……早く、打たなきゃ。
なんとか気持ちを立て直そうと無理矢理ボールを構えた。
そして、ふわりと浮かせたボールを打つ瞬間……。
「頑張れ、芽衣子……」
えっ。
透き通るような綺麗な声が聞こえた。
いつも聞いてる大切な人の声。大切にしたい人の声。
碧人くん。
「っ………!」
風のように吹いた声が、わたしの背中を押してくれたような気がした。