さよならリミットブルー

きっと、今日1番の綺麗なホームだったと思う。


スーッと真っ直ぐ伸びたボールは、誰かの動きに邪魔されることなく相手コートの床に跳ねた。

勢いを無くしたボールはコロコロと転がっている。


ーーピーーーーッ!


そして、響く長いホイッスルの音。

試合、終了。


「きゃー!勝ったー!」

「やったよー!」


歓声に包まれる体育館の中で、チームのみんなとハイタッチを交わした。

「さっすが芽衣子!」とチームの1人に肩を抱かれて、顔がにやにやと緩んでしまう。

自分の力で掴み取ることができて、何より嬉しかったから。


「芽衣子ーっ!おめでとう!!」


後ろからはピンク色のポンポンを激しく揺らす桃花がいる。


「ありがとう!」


チームの輪を一旦すり抜けて、後ろに立つ桃花に駆け寄りながら手を振った。


そして、桃花の隣に居る碧人くんが、優しげな瞳を揺らしてわたしを見ている。

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