さよならリミットブルー



ーーーそして、約束を交わしたわたしたちは目的を果たすために船に乗り込んだというわけだ。


「お〜!自然がいっぱいで素敵なところだね」


景色を眺めていたらあっという間に目的地に辿り着いていて、ようやく船から降りた。

見渡す限りの自然と爽やかに吹く風。

深く息を吸い込めば、気持ちの良い空気が身体中に巡っていくのがよくわかる。


普段ビルに囲まれたところで生活しているわたしには、とても新鮮な場所だ。


「ねっ、何か思い出した?」


くるりと後ろを振り返れば、ダルそうに髪の毛を掻き上げている碧人くんが目に映る。


「船から降りたばかりで思い出せるわけないだろ」


今にもため息を吐きそうなやる気のない碧人くんの回答に、正直少し肩が沈んだ。


「あはは、ごめん。そうだよね」


まぁ、当然といえば当然か。

着いたばかりだし本番はこれからだよね。

周る場所はたくさんあるんだもの、落ち着いていこう。


碧人くんが住んでいた家、通っていた学校、よく行っていたお店とか。

小さなことでもいい、少しずつ昔の記憶に触れていくしかない。


「よしっ、行こう!」

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