さよならリミットブルー
「不安そうな顔をしてればすぐにわかるよ」
顔を上げた視線の先には碧人くんが余裕な表情で笑っていた。
不安なのは碧人くんの方なのに……わたしばっかり励まされて、なんて情けないんだろう。
支えてあげるのはこっちの役目なのに。
わたしが不安でどうするんだ……!
「わっ、わたしの心配なんかしないで、碧人くんは記憶を取り戻すことだけ考えてよね!」
ビシッと指を構えて、無理矢理ニヤリと口角をあげた。
「ふっ……偉そうに。言われなくてもそのつもり」
「おぉ!じゃあ何か思い出せたの?」
「いや、それはまだ……」
家に来てもダメ、か。
いったい碧人くんの記憶の扉はどこに隠れているんだろう。
わからないのはいつものことだ。
立ち止まってはいられないし、今は行動あるのみだよね。
「よしっ、じゃあ次行こうよ!たくさん見て回れば絶対思い出せるって!」
「わかってる。行こう」