さよならリミットブルー

涙の落し物


「はぁ!?なにその少女マンガみたいな展開!」

「ちょっ、声大きい………」


この子は朝っぱらから、どうしてこんなに元気なんだろう。

未だにぽわぽわと眠気が抜けないわたしとは正反対だ。


「いいなぁ。あたしも芽衣子みたいに素敵な王子様との出会いがほしい〜!」

「桃花ってば……彼氏いるじゃんか」

「それとこれとは話が別!」


ダンッと机を叩きながら抗議する桃花に対して「へー、そうなんだ」と、適当な言葉を返した。



ーーー朝から友達と微妙な盛り上がりをしているのはわたし、二宮芽衣子(にのみやめいこ)。


昨日まで真っ直ぐだった黒髪はいつもの癖がついた状態に戻り、化粧だってしていない。


「芽衣子ったら酷い!適当に返事しないでよ〜!」


そんな女子力低めのわたしに比べて、友達の桃花(ももか)は今日も完璧だ。

パーマをかけているふわふわの髪の毛に、化粧してるの?と疑いたくなるくらいのナチュラルメイクは、桃花にとても似合っている。

< 12 / 313 >

この作品をシェア

pagetop