さよならリミットブルー
涙の落し物
「はぁ!?なにその少女マンガみたいな展開!」
「ちょっ、声大きい………」
この子は朝っぱらから、どうしてこんなに元気なんだろう。
未だにぽわぽわと眠気が抜けないわたしとは正反対だ。
「いいなぁ。あたしも芽衣子みたいに素敵な王子様との出会いがほしい〜!」
「桃花ってば……彼氏いるじゃんか」
「それとこれとは話が別!」
ダンッと机を叩きながら抗議する桃花に対して「へー、そうなんだ」と、適当な言葉を返した。
ーーー朝から友達と微妙な盛り上がりをしているのはわたし、二宮芽衣子(にのみやめいこ)。
昨日まで真っ直ぐだった黒髪はいつもの癖がついた状態に戻り、化粧だってしていない。
「芽衣子ったら酷い!適当に返事しないでよ〜!」
そんな女子力低めのわたしに比べて、友達の桃花(ももか)は今日も完璧だ。
パーマをかけているふわふわの髪の毛に、化粧してるの?と疑いたくなるくらいのナチュラルメイクは、桃花にとても似合っている。