さよならリミットブルー
「碧人くんと2人で撮った写真が欲しいなって思ったから」
出会った日から今日まで、碧人くんとはたくさんの時間を共に過ごしてきた。
ひと言じゃ言い表せないくらいの濃い日々だったと思う。
でも、それは所詮頭の中に浮かぶ記憶でしかない。
だから目に見える碧人くんとの思い出が欲しくなった。
碧人くんがまた記憶を無くしてしまうとか、そんなことを思っているわけではないけれど。
あのピアスのように形に残る何かが欲しかったから。
「ほら、空と景色をバックにしてさ!」
「わっ……」
急な展開に対応できていない碧人くんの腕を無理やり引っ張って、
「撮るよ〜!」
内カメラを向けてシャッターボタンを押した。
カシャッと無機質な機械音がよく響く。
フォルダーを開いて撮ったばかりの写真を見てみると、不意に息が漏れた。