さよならリミットブルー

「あははっ、碧人くん無愛想すぎ」


準備ができていなかったせいか、画面に映る碧人くんの表情は想像以上に硬かった。

面白くてつい吹き出してしまうほど。


「急に撮るからだろ……!」


ぷいっと顔を背ける仕草もおかしくて、またさらに口元が緩んだ。


「ふふっ、でも碧人くんは元から表情硬いし逆にいい写真になったんじゃないかな」


最近は少しずつ笑う回数が増えたけど、クールな碧人くんは未だ健在。

まぁ、そこが魅力でもあるんだけどね。


改めてスマホの画面に映る写真を見ていると、きゅっと胸が苦しくなる。

いつか、この日を懐かしく思える日が来るかな。

もう1度この写真を見るとき、碧人くんは隣に居てくれてるのかな。


確かに碧人くんは“今”を捨てたりしないと言っていた。

わたしだって碧人くんの言葉を信じているし、疑うところは1ミリもない。

それでもどうしても不安になるの。


今にも消えてしまいそうなくらい、碧人くんは悲しげな瞳で笑うから。

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