さよならリミットブルー

「………あのさ、碧人くん」

「なんだ?」

「記憶が戻ったらまた一緒にこの場所に来ようね」


碧人くんを繋ぎ止める理由が欲しい。


「約束……だよ………?」


確かな約束が欲しい。


わたしは弱いから、言葉にして紡がないと寂しくて仕方がない。

どんなに碧人くんのことを1番に考えようとしても、結局行き着く感情は自分のこと。

ほんと、ダメだなぁ。


「わかった。約束する」


ふわりと頭に優しいぬくもりが落ちた。

碧人くんの、手。

碧人くんが触れるとなんだか安心して心が落ち着く。


「ありがとう」


ひと言返すだけで精一杯のわたしに、


「ん、別に」


そう言って優しく笑ってくれた。

< 124 / 313 >

この作品をシェア

pagetop