さよならリミットブルー

「そっ、そろそろ下に降りようよ!今撮った写真コンビニで印刷したいな!」


これ以上ここに居たら変に狂ってしまいそうで、強引に話題を絞り出した。

今日の碧人くんは勘がいいから、追及される前に逃げ道を作りたかったんだ。


「………そうだな。ずっとここに居ても仕方ないし、そろそろ行くか」


……あ、何も聞かないんだ。

明らかに動揺していたわたしには触れず、そのまま1人で碧人くんは階段を下りて行く。

何かを察したように素っ気ない。


「あっ、置いてかないでよ〜!」


急いで追いかけて隣に並んでも、碧人くんはそれ以上何も言ってこなかった。


碧人くんって普段クールで素っ気ないのに、気持ちを察するのは上手い。

人が踏み込んでほしくない距離をよくわかっている。


それなのにわたしは……。

最低なことを考えてしまう分、たくさん碧人くんに協力しよう。

怖いけど、時には自分が傷つく覚悟も必要なのかもしれない。

< 126 / 313 >

この作品をシェア

pagetop