さよならリミットブルー

「なぁ、芽衣子。商店街ってどこにあるんだ?」

「たしかここの突き当たりを右に曲がって、あとはーーーー」


「にゃあ」

「は?」

「にゃあん……」


少しでも暑さを避けようと、額に手当てていた碧人くんの足元に突如現れた白い物体。


「……えっ……白い猫……?」


「にゃあ、にゃあ」と高い声をあげながら、動けずにいる碧人くんの右足にこれでもかというほど身をすり寄せている。


「わー、白猫ちゃんだ!」


動くたび、首元についた鈴がチリーンと音を響かせた。

鈴がついてるってことは……飼い猫だよね?


「可愛いなぁ」


碧人くんの足元にいる白猫を触ろうと手を伸ばしてみたが、わたしに見向きもしてくれない。

えっ、なんで?

わたしなんか眼中にないと言わんばかりに碧人くんに頬をすり寄せている。


なっ、なんかずるい………!

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