さよならリミットブルー

「碧人くんって動物に好かれるタイプなの?全然わたしの方見てくれないよ」

「いや別に………っ、なんでこんなすり寄ってくるんだ」


苦手という感じではなさそうだが、突然の事態に焦って1ミリも動けていない。

そんなテンパる碧人くんのことなんてお構いなしに、白猫はゴロゴロと喉を鳴らしている。


人懐っこい猫なのかな?とも思ったが、碧人くんにしか興味を示していないことを考えるとたぶん違う。

男の人が好きなただの面食い猫………?

そう考えるとなんだか腹立たしいような。


「あっ、首輪に名前が……えーっと、『ソラ』って言うんだね。ソラちゃん〜!」


なんとかこちらを振り向かせようと名前を呼んでみたが、


「そろそろ離れてくれよっ………!」

「にゃあん」


やっぱりわたしは完全に無視。

ううっ……切ない……。


しゃがんだまま悲しげに何もない地面にペタリと手をつけた。

冷たい……。

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