さよならリミットブルー

「もー、猫もイケメンが好きってわけ?ショックだなぁ」

名残惜しそうに離れようとしない白猫をじーっと見ていた。

碧人くんも口では嫌がってるのにまんざらでもない顔してるし、完全にわたしだけ別世界にいるみたい。


それにしても、この白猫の飼い主さんはどこにいるんだろう。

ただの気まぐれな散歩かな?


ぼっち状態のわたしは、飼い主の顔を思い浮かべながら、暇を持て余していた。


碧人くんが好きな空と、謎の白猫ソラ。


こじ付けがましい共通点だが、この白猫は碧人くんの記憶に関係していないのかと思い始めている。

そんな偶然あるわけないのにね。

順調にきていたから変な考えが浮かんじゃったよ。


「あはは」と1人力のない乾いた笑いをこぼしていると、


「ソラー?」


聞き覚えのない女の人の声が耳の中に響いた。


……ソラってこの白猫のこと?

もしかして飼い主さんが探しに来たのかな。
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