さよならリミットブルー
「ソラー、どこー?」
「にゃあ!」
飼い主さんと思われる人の声に反応して、碧人くんから離れずにいた白猫が突然辺りを見渡し始めている。
動くたびに揺れる鈴の音。
「あっ……」
ようやく白猫が碧人くんの足元から離れたと思えば、そのままわたしの横も通り過ぎて行く。
「もぉ、ソラったらこんなところにいたんだ〜!」
聞こえてくる声は、ちょうどわたしの真後ろからだった。
手についていた汚れを落として後ろを振り向けば、白猫と変わらないふわふわの髪の毛が風に吹かれ揺れていた。
穏やかな笑みを浮かべながら白猫を抱く姿は、まるで天使のように美しく魅了されてしまう。
うっわぁ……綺麗な人……。
くせ毛なわたしとは大違いのふわふわな軽い猫っ毛。
本人も猫みたいに可愛いや………。
「うちのソラが迷惑掛けちゃってすみません……!」
目の前に立つ女の人は申し訳なさそうにぺこりと頭を下げた。