さよならリミットブルー

「わたしの部屋は2階なんです。階段気をつけてくださいね」

「あ、はい」


北上さんに案内されるがまま、2階に続く階段を踏んでいく。

階段にはホコリさえも見当たらず、ちゃんと綺麗に掃除されているのがよくわかる。


目の前に迫った扉には『るりの部屋』と可愛いプレートが垂れ下がっていた。


「散らかっててすみません。どうぞ適当に座ってください」


北上さんをひと言で表すなら、謙虚という言葉がしっくりくるだろう。

散らかってるどころか綺麗すぎて驚いた。


階段同様、床にはゴミ1つ落ちてないしベッドの布団さえもビシッと綺麗にのびている。

チェックインしたばかりのホテルのベットみたい……。


「じゃあ、わたしは飲み物持ってきますね。ゆっくりくつろいでてください」

「ありがとうございます……」


パタリと扉は閉ざされて部屋には碧人くんと2人きり。

碧人くんひと言も喋らないな……。


北上さんに会ってから途端に口数が減っている。

いや、むしろゼロだ。

どうしたんだろう。
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