さよならリミットブルー
「お待たせしました。麦茶で大丈夫ですか?」
ガチャリと開いた扉から、上機嫌な声と共にお盆を持った北上さんが現れた。
北上さんが戻ってきてくれたおかげで、重たい空気が少し和らいだ気がする。
心無しか、ほっとしてしまう自分がいた。
「ありがとうございます。麦茶好きですよ」
「よかったぁ!はい、どうぞ」
初めて会ったのに北上さんを見てると心が和むというか、癒される。
天使のように可憐な笑みの効果だろうか。
「ふふっ、まさかまた碧っ………えっと日野くんに会えるなんてびっくりしました」
氷の浮かんだ麦茶を揺らし、ニコニコと笑顔が絶えない北上さん。
そんな北上さんにほっこりと癒されながら目の前に置かれた麦茶を手に取ると、ひんやりとした感触が外に居たときの熱を忘れさせてくれる。
「そういえばまだお名前聞いてませんでしたよね」
「芽衣子です!二宮芽衣子」
「可愛い名前ですね。たぶん同い年だと思うんですけど……」
「あ、はい。わたしも高校2年生で碧人くんとはクラスメイトなんです」