さよならリミットブルー
「やっぱりそうなんですね!じゃあ芽衣子ちゃんかな」
嬉しそうな笑顔でこちらを見てくるせいか、わたしも自然と顔が緩んできた。
正面から見てると、北上さんはとても整った顔立ちをしている人だと改めて実感してくる。
肩まで伸びた髪の毛をふわりと耳に掛ける仕草。
可愛いのに艶っぽくて、また更に見惚れてしまう。
そして、髪の隙間から除く右耳にはさっき見たばかりの青色のピアスが光っていた。
やっぱり碧人くんが持っていたあのピアスとどこか似ている。
いや、似ているどころかたぶん同じものだ。
それに、北上さんの左耳にはピアスホールが見当たらない。
碧人くんもピアスホールがあるのは左耳だけで、右耳には何もなかった。
なぜか片耳ずつしかピアスホールがない2人。
………なんだろうこの違和感は。
北上さんは“ただの同級生”ではない気がする。
2人の間には特別な何かがあったんじゃないのかな。
気になるし聞いてみたいけど、なんだか怖くて声に出すことはできなかった。
「今日はどうしてこの島に来たの?日野くんここを出てから1度も戻って来たことなかったのに」
ぼんやり考え事をしている暇はなく、北上さんから質問が飛んできた。
「あー、えっと……それは……」
ふと、ある考えが頭に浮かぶ。
北上さんは碧人くんが記憶喪失になったことを知っているのかどうか。