さよならリミットブルー

碧人くんは言っていた。

昔の自分を知っている人は親以外に会ったことがないと。


ということは必然的に北上さんは碧人くんのお母さんやお父さんから聞いたことになる。


だったら、どうして碧人くんは北上さんの存在を知らなかったのか。

だって、北上さんは碧人くんの両親とは話せるくらいの仲なんでしょう?


「アンタは………北上は俺のなんだ?」


直球すぎる質問だった。

わたしも気になっていたことだけど、やっぱり聞くのは少し怖くて………。


あのピアスを見てからずっと落ち着かないの。

“聞かないほうがいい”とわたしに訴えかけているみたい。


耳を塞いで逃げようとしても、過ぎ去る時間はわたしを待っていてはくれなくて、小さく息を吸い込んだ北上さんを見て肩がビクンと跳ね上がった。


そして、碧人くんと同じ悲しげな瞳を揺らして言うんだ。


「そうだなぁ……恋人同士だった、かな」


偶然が引き寄せた必然的な出会い。

これは、運命と呼ぶのだろうか。
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