さよならリミットブルー

「わたし、今でも碧人のことがーーー」

「言うな!!」


気がついたら、自分でも驚くほどの強い言葉が口から零れていた。

ビクッと体を震わす北上さんを見ようやく罪悪感を感じる。


「それ以上……言わないでくれ………」


ごめん。

ごめん、北上さん。


声にならない声が喉の奥で詰まってる。

これは俺の一方的なわがままだ。

北上さんの気持ちを聞いてしまったら簡単に壊れてしまうだろう。

過去はどうであれ、今の俺は芽衣子が好きだ。

その気持ちを1番大事にしたいって思うから。


「そっか……そうだよね……碧人の気持ちよくわかったよ」


震える唇を強引に動かして、溢れそうになる涙を必死に堪える北上さんの姿に酷く胸が傷む。

俺のせいなのに、傷つく権利なんてないのに。


「過去より今が大切だもんね!

もしも記憶を思い出してくれたそのときは……恋人にはなれなくても、

せめて友達になってくれたら嬉しいな」

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