さよならリミットブルー

自分がお化け屋敷に入ったわけではないけれど、中から聞こえる悲鳴や空気感を敏感に感じ取ってしまい、ずっと出口を見ていることは不可能に近かった。

怯えて目も当てられなかったから。


それで近くの茂みで頭を抱えつつ2人を待っていたら見事に見失ったというわけだ。

まさかお化け屋敷に入るとは予測してなかったし、ましてや自分がここまでポンコツだと思ってもいなかった。


………まぁ、でもね。

結果論としてはこれでよかったのかもしれない。


近いとバレる危険があるから遠くでしか見れなかったけど、2人とも変に揉めている感じはなかった。

穏やかな雰囲気だったし、きっと楽しく遊んでるんだろうな。


もしかしたら今頃恋人同士に戻ってたりして。


だってそうでしょう?ありえない話じゃない。

北上さんは同性のわたしから見てもすごく魅力的な人。

可愛くて、気が利いて、控えめで。

男の人が掲げる理想をぎゅっと詰め込んだような完璧な人だもの、好きにならないわけがない。


ましてや碧人くんは北上さんの元カレ。


「好きになっちゃうよね………」
< 178 / 313 >

この作品をシェア

pagetop