さよならリミットブルー
自分がお化け屋敷に入ったわけではないけれど、中から聞こえる悲鳴や空気感を敏感に感じ取ってしまい、ずっと出口を見ていることは不可能に近かった。
怯えて目も当てられなかったから。
それで近くの茂みで頭を抱えつつ2人を待っていたら見事に見失ったというわけだ。
まさかお化け屋敷に入るとは予測してなかったし、ましてや自分がここまでポンコツだと思ってもいなかった。
………まぁ、でもね。
結果論としてはこれでよかったのかもしれない。
近いとバレる危険があるから遠くでしか見れなかったけど、2人とも変に揉めている感じはなかった。
穏やかな雰囲気だったし、きっと楽しく遊んでるんだろうな。
もしかしたら今頃恋人同士に戻ってたりして。
だってそうでしょう?ありえない話じゃない。
北上さんは同性のわたしから見てもすごく魅力的な人。
可愛くて、気が利いて、控えめで。
男の人が掲げる理想をぎゅっと詰め込んだような完璧な人だもの、好きにならないわけがない。
ましてや碧人くんは北上さんの元カレ。
「好きになっちゃうよね………」