さよならリミットブルー
ふわりと漂う碧人くんの甘い香りがわたしを包む。
碧人くんとの距離が縮まってきているんだと、感覚でわかってしまう。
どうしよう。
どうすればいいの。
キスするの初めてなんだよ?
大事なファーストキスをこんな簡単にあげちゃっていいのかな。
彼氏でもなんでもないただの友達に。
ぐるぐると頭を悩ませたところで、わたしは碧人くんになんの抵抗もできやしない。
過ぎ去る1秒を肌で感じて、触れる瞬間を待っている。
心臓、持たないっ………。
たぶん目を閉じていたのはほんの数秒程度だったと思う。
ドキドキと心拍数を上げている間にようやく時は訪れて、チュッとぎこちないリップ音だけが聞こえた。
どこから?
わたしの、額から。