さよならリミットブルー
店内は想像通りの綺麗なお店だった。
白い塗装の壁紙には汚れひとつ見当たらない。
「いらっしゃいませ」と柔らかな店員さんの声がスーッと耳に入り込む。
うひゃー、すごいオシャレなお店。
「このっ……芽衣子……急に引っ張るなよ」
「ふふっ。さっきの仕返しだよ」
息を乱す碧人くんを見て、わたしはくすりと笑った。
パワーストーンのお店に入るのって実は初めてなんだよね。
どこもかしこも石だらけでなんか圧倒されちゃうな。
キョロキョロと店内を見渡すと、
「あっ、見て!」
気になる石を発見して再び碧人くんの腕を引っ張った。
「今度はなんだよ……!」
「これさ、碧人くんの石だよね?」
「は?俺の石?」
わたしが指を差したのは綺麗な赤褐色の石。
透明度はなく、どこか素朴さも感じる深みのある石だ。
「なんでこれが俺の石なんだよ」
「ちゃんと名前見てよ、ここ」