さよならリミットブルー

パワーストーンの前に置かれた名札には『ジャスパー』と書かれ、その隣には和名『碧玉』と記されている。


「碧人くんの名前も「碧」って文字あるでしょ?だからこれは碧人くんの石なんだよ!」


自信満々に言ってやった。


だけどそんなわたしを見るなり呆れた顔で、

「説得力ないな」

と冷めたひと言。


もー、なにさ。

こういうのはたとえ適当でも理屈をつけて楽しむものなんだから、ちょっとくらい反応してくれてもいいじゃん。

碧人くん冷たい!


「この石、碧玉っていうのに全然青くないんだね」


冷たい碧人くんの言葉に反論することもなく言葉を続けた。

パワーストーンって奥が深いなぁ。


「そういえば碧人くんと北上さんが持ってるピアスもなにかのパワーストーンなのかな?」

「俺と北上さん?」

「うん。2人のお揃いなんだよね?」


「は?なんだよそれ」

「なんだよって………」


きょとんとした顔で首を傾げる碧人くんを見て、ようやく自分が疎かな発言をしてしまったのだと気がついた。
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