さよならリミットブルー

でも、友達だったのはほんの一瞬だけ。


はっきり言って瑠璃はモテた。

たぶん女子の中でダントツだったと思う。

だから好きだと自覚するのは案外早くて、2年生に進級する頃には友情が恋愛に変わっていた。


瑠璃が好きだと自覚していながらも拒絶されるのを恐れ、なかなか好きだと言え出せなかった。

そんな臆病な俺を察していたのか、先に気持ちを明かしてくれたのは瑠璃の方。


卒業間近の中学3年生の冬、この展望台で初めて瑠璃の口から「好き」という言葉を聞いた。

あぁ、瑠璃も俺のことを好きだったんだって。

当然俺の答えに迷いはなく、差し出された手を取り友達から恋人へと変わった瞬間。

今でもよく覚えている。


……懐かしいな。



「ちょっと碧人、話聞いてた?」

「なっ、なに?」


昔の思い出に浸っている場合ではなかった。


隣に立つ瑠璃が「ぼーっとしないでよね」と頬を膨らませている。

ったく……。

そんな可愛い顔するなよ。

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