さよならリミットブルー
「このピアスお揃いにしたいから片耳ずつ付けようって言ったの」
「あー、だから俺の耳に穴あけさせたんだな?1人であけるの怖いから一緒にってのは嘘かよ」
「ピンポーン!この日のためでした〜」
たぶんちょうど半年位前のことだったと思う。
突然瑠璃が「ピアス付けたい!」と言い出したのが始まりだった。
1人で開けるのは心細いから一緒にあけようと言われ、流されるように俺も穴あけたんだっけ。
まさか半年も前から計画してたとは……知らなかったな。
「お揃いで付けるのは構わないけど、それなら両耳あけたってよかったんじゃないか?」
これもまた瑠璃が言い出したことで、片耳だけあけるのが今時のオシャレだとわけのわからない理由をつけ、俺たちは片方の耳にしか穴があいていない。
左耳は俺で、右耳は瑠璃。
変だとは思っていたけどまたこれも瑠璃の計算か?
疑問ばかり浮かぶ俺を横目に、瑠璃の口元が緩むのが見えた。
「ヨーロッパではね、左にピアスを付けるのは守る人で右に付けるのは守られる人って古くからから伝えられてる文化があるんだって」
「へぇ、初めて聞いたな」
「すっごくロマンチックでしょ!だから恋人同士で片耳ずつあけてる人もいるらしいの。何よりお揃いだし恋人感が増していいなぁって……」
女子ってこういうジンクスみたいな話好きだよな。