さよならリミットブルー
ーーだけど、俺たちの目の前に待ち受けていたのは永遠の愛なんかじゃなかった。
神様はなんて残酷なことをするんだろうと。
数分後に起きる悲劇が俺たちを引き離そうとしていたんだから。
展望台を下りて、後は家に帰るだけ。
2人で手を繋いで笑い合ったこの時間は、きっと今まで生きてきた中で1番幸せだったと思う。
幸せら到達するまで長い時間が掛かるのに、絶望に染まるのは本当に一瞬だ。
たった1つの出来事で全て奪い去ってしまうのだから。
「明日の数学の小テストさ、勝負しようよ!」
「勝負かぁ……じゃあ点数低かった方が昼飯代奢りな」
「よしっ、絶対勝つぞー!」
こんなたわいのない約束さえも、果たされる日は来なかった。
信号を待っていた俺たちに向かって1台の車が走ってきているのが見える。
なんかあの車……スピード速くないか?
激しいエンジン音が遠くからでも微かに聞こえ、異変に気付いたのは俺の方が先だった。