さよならリミットブルー
*
結局、放課後になっても日野くんに話しかけることはできなかった。
それどころか気づかれないよう逃げてばかり。
わたしの意気地なし………。
「芽衣子、一緒に帰ろ〜」
「あ、うん」
もう帰る時間、か。
いつも通り桃花と一緒に………。
つい気になってチラリと後ろを見ると、既に日野くんの姿は無かった。
帰るの早いなぁ。
「それで、アイツ待ち合わせに30分も遅刻してきてさー」
教室を出ても、頭の中は日野くんのことばかり考えている。
隣を並んで歩く桃花の喋り声すらも耳からスーッと抜けて、心ここに在らず。
こんなこと初めてだ。
「ちょっと芽衣子!ちゃんと聞いてる?」
「……きっ、聞いてるよ!」
「嘘ばっかり。魂抜けてた」
「あはは………」
ムッと口を尖らせて、ブツブツと文句を言う桃花に苦笑いを零した。