さよならリミットブルー



結局、放課後になっても日野くんに話しかけることはできなかった。

それどころか気づかれないよう逃げてばかり。

わたしの意気地なし………。


「芽衣子、一緒に帰ろ〜」

「あ、うん」


もう帰る時間、か。

いつも通り桃花と一緒に………。


つい気になってチラリと後ろを見ると、既に日野くんの姿は無かった。

帰るの早いなぁ。


「それで、アイツ待ち合わせに30分も遅刻してきてさー」

教室を出ても、頭の中は日野くんのことばかり考えている。

隣を並んで歩く桃花の喋り声すらも耳からスーッと抜けて、心ここに在らず。

こんなこと初めてだ。


「ちょっと芽衣子!ちゃんと聞いてる?」

「……きっ、聞いてるよ!」

「嘘ばっかり。魂抜けてた」

「あはは………」


ムッと口を尖らせて、ブツブツと文句を言う桃花に苦笑いを零した。
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