さよならリミットブルー
「じゃあ今日は家に帰ったらちゃんと勉強しなきゃなぁ」
無邪気に笑う瑠璃の声に紛れて近づく車のエンジン音。
人間、本当に危険が迫ると察知する能力は早いらしい。
このままじゃ危ない。
そう直感した俺は、未だに気づかないでいる瑠璃の手を力強く引っ張った。
「わわっ、どうしたの急にひっぱって」
「あの車、おかしいんだ!逃げるぞ」
「あの車…………?」
後悔した。
瑠璃に何も伝えずさっさとこの場を離れればよかったと。
「えっ、あっ………っ………」
ようやく異変に気付いた瑠璃の顔からは、ついさっきまで見せてくれた笑顔は消え、じわりと額に汗が滲み出ていた。
「おいっ、瑠璃……!」
強引に腕を引っ張ろうとするも、なかなか瑠璃の体はその場から動いてくれない。
別に瑠璃が力をいれているわけではなくて、焦った俺に力がなかったんだ。