さよならリミットブルー
ーーーーーー碧人くんの、記憶?
先生の言葉でようやく全ての状況を飲み込んだ。
そうだ、碧人くんはあのパワーストーンを見て………ラピスラズリの石言葉に反応して………。
「目覚めた頃には、全ての記憶を思い出していることでしょう」
碧人くんの記憶が戻るの?
たぶんそうなんだろうと、碧人くんが倒れたときには直感していた。
けれど、それはあまりにも突然すぎて脳が全てを処理しきれてなかったらしい。
記憶を取り戻す瞬間がどうなるかなんて、誰にも予測することはできないのだから。
「碧人………」
わたしの隣に立っていた北上さんが、今にも泣きそうな声色で碧人くんの名前を呼んでいる。
そうか、思い出したってことは当然北上さんが好きだったときの記憶も……。
なんだろう。
この日のためにわたしは碧人くんと頑張ってきていたはずなのに。
なんでわたし、嬉しくないんだろう。