さよならリミットブルー
日野くんのことを考えるのはやめよう。
考えたって何の意味もない。
考えたって仕方な………。
「あ!ねぇねぇ、あれって日野くんだよね?」
「え?」
「ほら、あそこ」と桃花の指先の向こうには、1人で廊下を歩く日野くんが居た。
なんだ、まだ帰ってなかったんだ。
「あ、曲がった」
そのまま真っ直ぐ歩くのかと思えば、すぐに左へ曲がって姿が見えなくなった。
あれ。日野くんが曲がった所って………。
「今曲がったところ、屋上に行く階段しか無いよね?1人で何しに行くんだろ?」
「ごめん桃花。先に帰って!」
「あー、うん。………って、芽衣子!?」
桃花の声に返事もせず、ひと気の減った廊下を走り出した。