さよならリミットブルー
先生が次に繋げる言葉を聞くのが怖い。
たぶんそれは碧人くんのお父さんとお母さん、そして北上さんも同じだと思う。
気難しそうな顔からはそんな雰囲気を感じ取ることができた。
それでもわたしたちは聞かなくてはいけない。
全てを受け止めなければいけなかった。
本当は全部わかってるのに。
先生が何を伝えたいのかも、わたしたちが今後どうすればいいのかも。
けれど、改めて正面から告げられることで、変えられない真実になることがたまらなく嫌だった。
信じたく……なかったから……。
覚悟もできないまま、先生は真剣な眼差しを揺らして再び口を開いた。
「どうやら碧人くんは記憶を取り戻した反動によって、記憶を失っていた間の記憶を忘れてしまったようです」
ードクン
耳障りな心臓音が耳を撫でた。
やっぱりねと思いつつ、嘘だと叫びたくなるような不思議な感情が沸き起こり、
「っ………」
たまらず先生から視線を逸らした。