さよならリミットブルー
今ならたぶん、日野くんはひとりだ。
1日中ずっと逃げていたけれど、やっぱり話したい。
考えるなと思えば思うほど、逆に気になってしまうし、明日でもいいやって思いたくないの。
ごめん桃花、今度何か奢るから。
今日だけは自分勝手なわたしを許して。
くるりと角を曲がれば、短い階段を駆け上がる。
日野くんに会えると思うだけで、ドキドキと心拍数の速さが増す。
あっ……何か昨日のお礼できるものでも持って来ればよかったな。
まさか、こんなにすぐに会えると思ってなかったから油断していた。
仕方ない、とりあえず今日はこのピアスを渡すことだけ考えよう。
2度目の会話でわたしはどれだけ日野くんと話せるかな。
「っ……はぁ………」
ようやく屋上の扉の前に着き、深呼吸のひとつでもしようかと思ったけれど、勢いに任せてそのまま扉を開けた。