さよならリミットブルー

わたしが知らない話と、わたしが知ってる話。

もしかしたら碧人は………。


「ソラは俺にもすごく懐いてくれてるし、今から楽しみ。あぁ、そういえばソラに全然相手にされなかったヤツもいたよなぁ………誰だったかな」


「……さぁ。わたしも覚えてないや」


……………やっぱり。

碧人は記憶を失っていた頃の記憶を完全に忘れたわけじゃないんだ。


薄れゆく曖昧な記憶の中で、無意識に自分の記憶を探してる。


きっとそれは、全部芽衣子ちゃんと過ごした日々の思い出。


だって、碧人と一緒にソラを見たのは芽衣子ちゃんだけだから。



……ねぇ、どうして?

わたしのときはすぐに逃げ出したくせに。

思い出すことを拒絶して島から離れたくせに。

わたしと芽衣子ちゃんの何が違うっていうの?


わたしの方がずっとずっと碧人を想っていたし、今の碧人はわたしのことが好きなはず。

思い出の数なら負けるはずがない。


それに、わたしたちは永遠の愛を誓ったんだよ?

今だってその証拠に、碧人の耳にはピアスが付いている。


両想いだってわかるのに……どうしてこんなに悔しいの。
< 249 / 313 >

この作品をシェア

pagetop