さよならリミットブルー

どうやらすぐには退院できないらしく、しばらくは病院生活が続く。


毎日のように彼女の瑠璃が見舞いに訪れてくれるから、暇になることはほとんどなかった。

むしろ、瑠璃が俺のためだけに毎日病室に来てくれることが嬉しくて、病院生活も案外と悪くない。


これ以上、母さんや父さんに迷惑を掛けないためにも早く退院したいものだが、こればっかりは時間の問題だ。


リハビリがいらないくらい俺の体は不思議と力があったし、検査も特に以上はない。

退院できる日はたぶんあと数日ってところだろう。


それまで俺にできることといえば、大人しくベッドの上で寝ていることくらいだ。


「外、暑そうだな……」


瑠璃が病室に来るのはいつも昼頃だった。

俺が唯一暇になる時間帯は、瑠璃が来るまでの朝と帰ったあとの夜。


ひとりの時間は、夢で見た女の子のことを考えることが多かった。


なぜ毎日同じ夢を見るのかとか、あの子はいったい誰なのかとか、考えることはいつも同じ。

考えてもわかるはずがないのに、夢に出てくるあの子の存在が気になって仕方なかった。
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