さよならリミットブルー
「昨日は本当にありがとう。ベンチの側に落ちてたんだけど……違うかな?」
「それーーー」
一瞬手を伸ばしたからやっぱり日野くんのだと思ったのに、途中で止めて体の横に戻っていた。
日野くん………?
なんだろう。変な違和感を感じる。
「……悪いけど、それは俺の落とした物じゃない」
「えっ」
日野くんの物じゃない?
それなら、どうして今………。
確かにこのピアスに反応していた。手を伸ばそうとしていたのが何よりの証拠。
「うっ、嘘つき。自分の物って顔してたよ」
「そんな変な顔するはずないだろ」
どうして………。
昨日はあんなに優しかった、どうしてこんなに冷たいの?
「ねぇ、日野………」
たまらず袖を掴んで詰め寄ると、
「気安く触るな」
バッとすぐに振り払われてしまった。