さよならリミットブルー
違う。
グループフルーツジュースが好きなのは瑠璃。
ソラに相手にされなかったのは、別の……きっと島にいる俺の友達だ。
二宮芽衣子なんてヤツは知らない。何も、知らない。
「碧人はわたしを思い出すどころか遠ざかっていったのに……今は違うよね?
芽衣子ちゃんのことを無意識に探してる。
忘れたくないから、体が必死に思い出そうとしてるんだよ」
くそっ……自分のことがよくわからない。
今の俺の記憶が曖昧なのは、また記憶喪失になっているから……?
「確かに今の碧人はわたしを好きなのかもしれない。けど、それは芽衣子ちゃんを忘れてるから」
「忘れてたって構わない!今の俺は瑠璃が好きなんだろ!?だったら、それでいいじゃないか……」
余計な記憶を入れ込んで、変に気持ちを揺さぶりたくない。
生活に支障はないんだ。記憶喪失だった頃の記憶なんて今の俺には……必要ない。
「だめだよ」
「な、なんで……」
「芽衣子ちゃんきっと今も泣いてる。碧人のために必死になってくれた女の子を忘れちゃだめだよ」