さよならリミットブルー
冷たい水とキミの体温
放課後になると、日野くんはいつも屋上に居る。
そんな日野くんと話をするため、屋上へと足を運ぶ毎日を送り早数日。
何度行っても「近寄るな」と言われたり、教室で「おはよう」と言っても返事はなく無視ばかり。
どうしてここまで冷たくされるのかわからないけれど、さすがに心が折れそう。
彼は変わってしまったんだと諦めようともした。
それでも、初めて会った日の優しい日野くんが嘘だったなんて思いたくないから。
せっかくまた会えたんだ。
あの日の日野くんを見失いたくない。
「芽衣子も毎日頑張るねぇ………」
「え?」
「日野くんにいっつも構うじゃん。他の女子は冷血男にそんなことしないよ?」
帰りのホームルームの最中、先生に気づかれないよう小声で桃花が声を掛けてきた。
「まぁ、確かにね」
と、わたしは苦笑いを零す。
初日のインパクトが強かったせいか、今では日野くんが女の子たちに囲まれているところを見たことがない。
むしろ声を掛ける人すらいなくて、距離を置いて眺めている人がほとんど。
いくら口では納得した言葉が言えても、本当は拒絶されるのが怖いんだと思う。