さよならリミットブルー

砂嵐が頭の中を過ぎり、残った後はモノクロの世界。

もしかしたら俺は、過去の記憶に触れる物を見つけてしまったのかもしれない。

「っはぁ……」

ようやく落ち着いてきた呼吸を整えて、もう1度写真に目を落とした。


俺と、たぶん二宮芽衣子。


ここはあの島の展望台だと思う。まさか一緒に行ったのか?

いったい……なんのために……。


思い出せないのがこれほど辛いなんて。

本当に記憶を失っていたのだと、ようやく実感した。


「はっ……なんだよ俺、全然笑ってない」


笑ってないけれど、二宮芽衣子とは本当に仲が良かったのだと写真から伝わってくる。

瑠璃以外の女の子とこんなに近づいたことがないから。


ずっと隠れていた二宮芽衣子の顔がようやく見れた。

こんな風に笑うんだな……。
< 283 / 313 >

この作品をシェア

pagetop