さよならリミットブルー
砂嵐が頭の中を過ぎり、残った後はモノクロの世界。
もしかしたら俺は、過去の記憶に触れる物を見つけてしまったのかもしれない。
「っはぁ……」
ようやく落ち着いてきた呼吸を整えて、もう1度写真に目を落とした。
俺と、たぶん二宮芽衣子。
ここはあの島の展望台だと思う。まさか一緒に行ったのか?
いったい……なんのために……。
思い出せないのがこれほど辛いなんて。
本当に記憶を失っていたのだと、ようやく実感した。
「はっ……なんだよ俺、全然笑ってない」
笑ってないけれど、二宮芽衣子とは本当に仲が良かったのだと写真から伝わってくる。
瑠璃以外の女の子とこんなに近づいたことがないから。
ずっと隠れていた二宮芽衣子の顔がようやく見れた。
こんな風に笑うんだな……。